放浪記3部作の第1作。次のねむれ巴里は、昔読んで、中身はすっかり忘れているけれど、独特の雰囲気を思い出した。なんという赤裸々な、露悪的というのとは違うのだが、こういうさらけ出し方が詩人なのか、とも思う。
中野孝次による解説から引用
「どくろ杯」に始まる地獄行の回想の特徴は、自己をふくめて人間の生の実体が、このように触覚や嗅覚や接触感や体温を通じて、いわば裸の存在感そのものとしてとらえられているところにある。人間の生がつねに一番どん底の、それ以上おちようがない地点から体験されているのである。
- 作者: 金子光晴
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