HONMEMO

読書備忘録です。

保身/藤原雅

積水ハウスの地面師事件とその後の人事抗争、株主代表訴訟を追うノンフィクション。

地面師事件は、当時の阿部社長の前のめりの姿勢と"社長案件"としての忖度などから、当然のチェックが働かずに生じたもので、最大の責任は阿部にあるにもかかわらず、阿部はその責任を取ることなく、かえって解任しようとした和田会長を辞職に追い込む。本人は会長として会社の実権を握るが、調査報告書の隠蔽などもあって株主代表訴訟が提起されるなど、その対応、身の処し方は、本書が相当に批判的な視点で書かれていることを割り引いても、褒められたものではないと評価されるもののように思う。