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読書備忘録です。

ブルシットジョブ/デヴィッド・グレーバー

ブルシットジョブとは、

「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないと感じている。」

ブルシットジョブとは、このようにかなりの程度主観的なものではある。

その増大は、いわゆるFIRE部門(金融、保険、不動産)、情報関連の仕事の増加と関連しており、また、生産性向上の観点から現場の業務を削減する一方で、事務・管理職を拡大させてきたことなどが要因である。

ブルシットジョブの拡大は、エッセンシャルワーク、ケアワークに代表されるような非ブルシットジョブの賃金・雇用条件が悪いことが要因になっている。

労働の社会的便益の大きさと労報酬が反比例しているように見えるのはなぜか?それは、社会に便益をもたらす人間は多くの報酬を受けてはならない(なぜなら、いいことをしたらそれ自体が報酬だから)といった考えが浸透しているからだ、というのだが、このあたりはすとんと落ちない。本当にどうしてなのだろう?ブルシットジョブにはまった中間管理職が、工場労働者に対し反感を抱き、十分な給与が支払われないことを正当化するのは、妬み(労働者の方が高い道徳基準をもっていることに対する「道徳的羨望」)故だと。

対策としてのベーシックインカムについては、そこにいく理路はわからなくもないが、ベーシックインカムの機能などそれ自体がよくわかっていないのでなんとも。

経済社会を違った切り口でみる面白さがある。