HONMEMO

読書備忘録です。

キリンの首/ユーディット・シャランスキー

ドイツ東部(旧東独)の寂れつつある町のギムナジウムの女性生物学教師の独白的な物語。旧東独の雰囲気を引き継いでトーン全体が寒々しく印象的だ。主人公は、適者生存(キリンの首が長い理由と主人公は考えている)など生物学の持つ冷徹さを体現しているような人物で、生徒とは距離を置き、教室を支配することが重要と考え、生徒とはもちろんだが、夫、娘とも暖かい交流はない。

一人の生徒の扱いをめぐって彼女の身に事件が起こるがー

著者は後書きで本書をビルドゥングス・ロマンだというのだが、(主人公の年齢はともかくとして)主人公の成長物語という感じは全くしない。私が読めないだけなのだろうが。

少し前に森本あんりの書評を読んで、恐る恐る読んだ。