HONMEMO

読書備忘録です。

ニッポン美食立国論/柏原光太郎

人口減必至の日本の内需を支える観点からも観光立国が唱えられ、オーバーツーリズムの弊害などから団体客より富裕層をいかに呼び込むかが課題とされている。

本書のいう美食立国は、これを食の観点から進めようというもの。フーディーと言われる美食オタクの目に止まるレストランを核に富裕層を呼ぶためのいい宿や観光施設などが広域に展開され、トリクルダウン効果により地域全体が発展することを狙う。

行政主導の町おこしがボトムアップの総花的支援により失敗しているとの評価から、トップの成功を核にトップダウン的にその効果を広げるべきであるとし、政府もそのような方向の施策を講じているようだ。

トリクルダウンてうまくいくのかとか、もっと地道な振興策がないものかと思うところもあるけれど(富裕層頼みというのがなんだか浅ましい)、これはこれでうまくいけばいいのでは、とは思う。ただ、本書、結局、富裕層向けのレストランや宿の紹介本のように読めてしまうところがあって、一般に共感が得られるのか、しらけるかルサンチマンの対象となるだけではないか、という感じではある。