HONMEMO

読書備忘録です。

地図と拳/小林哲

冒頭から満洲を舞台にした謀略ものかと思って読んだが、主人公の一人細川は間諜風ではあるものの、謀略ものの駆け引きの面白さで読ませる本ではなく、ドキドキさせてもらえなかった。

著者の東大での指導教官だったらしい松浦寿輝の上海を舞台とした「名誉と恍惚」がべら棒に面白かったので、そんな雰囲気を勝手に期待したところがあったが、変に期待するのが悪い。

時代は重なるが、上海と満洲という舞台の違いも大きい気がする。

多くの人物が登場するが、ロシア人宣教師とか孫悟空という弾が当たっても跳ね返す超人という面白そうな登場人物も思いのほか活躍の場がなく、全体として散漫な感じ。