かみさんの本棚から。江國香織は初めてではないかな、と思ったら、きらきらひかるを読んでいた。
17歳の逸佳は、留学生として14歳の従妹礼那のニューヨークの家から学校に通うが、思い立って礼那と2人西部に向けて旅に出る。家出ではないと置き手紙をして。逸佳はちょっと人見知りで、礼那は社交的で天真爛漫。バスやヒッチハイクで行く道中、小屋に連れ込まれたり、変態に遭遇したり、ちょっと危ない目にも会うけれど、アメリカの自由でおおらかで多様な雰囲気、これこそがアメリカの美点というところがよく分かる。
旅に出る前、2人は、旅の間にあったことは永遠に2人の秘密にすると約束するが、旅の終わりに、旅で経験したことは2人以外には絶対に分からない特別なことで、そんな約束は意味がなかったと気づく。旅というものがそもそもそういうものというところもあるが、この旅が2人にとってそれだけ特別な旅でもあったともいえるのだろう。
旅に出ると、今ここにあるものだけが確かな現実で、それ以外のもの(過去のこととか、別の場所のこと)は現実でないような気がするという感覚もよく分かる。
