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読書備忘録です。

日本の近代(下)/福田和也

歴史を客観的に書くことは不可能で、すべてが○○史観だということができるのだとすれば、これも言わば福田史観。松岡洋祐や山本五十六など、一般に思われている見方と違う評価をしているところなどハッとさせられるところがあるのも楽しい。
普通選挙法が成立して、デモクラシーが進むのではなく、逆に権威的なものを求める方向へ世の中が動いていき、これが国体や統帥権問題へという現実性を失った状況へつながっていったという流れを、高度成長を実現した後の今日の「自分探し」「自分らしさ」という現実感を失っていく状況になぞらえてみる見方*1に、なるほどと気づかされる。

教養としての歴史 日本の近代〈下〉 (新潮新書)

教養としての歴史 日本の近代〈下〉 (新潮新書)


735円@都心の本屋さん

*1:『「自分らしさ」という発想は、実は「国体」とたいして変わらないのではないか』