HONMEMO

読書備忘録です。

廃炉/稲泉連

福島に一生とどまることを希望するキャリア官僚、デブリの取り出しなどに取り組む技術者、食堂などのバックヤードで働く人々や作業員、入社と同時に加害者となる東電新人社員、それぞれの複雑な思いの中の誇りと使命感。

事故の責任は東電にあり、批判され、責められるは当然だが、怒りを持ち続けるように煽るより、協力して解決に向けて自ら取り組もうとする人々に頭が下がる思い。

廃炉という仕事は、「技術の粋や莫大な資金、少ないといえない被曝、現場で働く人々の熱意や思いというものをも、湯水のように費やして飲み込んでいく、ある種の虚しさを宿命的に抱える仕事」であるだけに。