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読書備忘録です。

核戦争、どうする日本?/橋爪大三郎

中国は台湾に必ず侵攻する。ただ、中国は失敗した時のリスクの大きさも理解している。戦力バランスは次第に中国に有利になることなどから、中国は急いで開戦する必要もないが、タイミングを計っている(いつ侵攻してもおかしくない)。

台湾有事は周辺事態であり、日本は米国と共同して自衛のための防衛活動を行うことになる。これは実質的には軍事同盟である。

著者が想定する台湾侵攻作戦の実際は、目を逸らしたくなるような恐ろしいものだが、まさにウクライナで起きていることでもある。

憲法9条は、国連軍による安全保障を前提としているとも解されているが、国連がそのような機能を果たし得ないものであることを前提として、日本の安全保障を確保する方策としては、西側同盟の形成と米国の核の傘によることとするしかないとする(日本の核保有は愚策)。

核アレルギーによる思考停止に陥ることなく、現実を見つめて安全保障を考えることは重要だ。

集団安全保障と抑止の考え方により安全保障を図ることは、もっともに思えるが、一方、軍事的なエスカレーションを招く。そのような中で、いかにして緊張の緩和を図り、戦争とならないようにするための方策を構想するかということだろうか。