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読書備忘録です。

政治学者、PTA会長になる/岡田憲治

PTAは停滞する日本の社会、組織の縮図のようなところがある。日本の自治、「半径10メートルの民主主義」の現場でもある。

前例主義(引継が大変!)、点数主義(ポイント制)などに絡め取られて身動きができず、みんなおかしいと思っているのに変革することができなくて、不満が鬱積していく。まさに日本社会の病理とされるものを濃縮したようなところだ。

PTA役員や関係者もみな真面目で善良な人たちだが、能吏タイプのオペレーターはいるものの、リーダーシップを発揮するタイプの人がいない。

新たに会長となった著者は、当初、リーダーとして「正しいと思うことをそのまま」すなわち正論を言ってぶつかるが、積極的にコミュニケーションをとって「目の前の人」を理解するよう努めながら、一歩一歩改革を進めていく。ベルマークも、ポイント制も、古紙回収も合理からみれば廃止すべきものと考えられたが、(感情を汲んで)納得して存続を決める。

改革の全てが実現した訳ではないが、一つ一つの小さな成功体験が、PTAの雰囲気を変えていく。PTAの雰囲気が変わったということが最大の改革なのだろう。この改革は、著者のパーソナリティなくしてなかなか実現しなかったとも思うが、PTAが更に変わっていく道筋はついたようだ。

この著者、区長とかやれそう。巨人ファンに宗旨替えしないと難しいかも知らんけど。