HONMEMO

読書備忘録です。

2009-01-01から1年間の記事一覧

安徳天皇漂海記/宇月原晴明

登場人物:安徳天皇、実朝、公暁、鴨長明、高丘親王*1、クビライ・カーン、マルコ・ポーロ、蛭児*2ほか。 まさに「…時を超え、海を越えて紡がれる幻想の一大叙事詩」(カバー裏)である。私の好きな山本周五郎賞受賞作品ということで、面白くはあったが、あと…

陰翳礼讃/谷崎潤一郎

表題作のほか、「懶惰の説」「恋愛及び色情」「客ぎらい」「旅のいろいろ」「厠のいろいろ」。日本(人、文化)を考えるための10冊なんて企画を立てたら確実にノミネートされるべき1冊だろう。 …私が何よりも感心するのは、あの玉虫色に光る青い口紅である。…

まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん

探偵もののテイストで楽しく読んだ。ハードボイルド作品なんかではボガート調のあり得ないスカしたセリフが魅力だったりするのだけれど、この小説は、まあ、そんな小説でもないのに、「まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はち…

自負と偏見/ジェーン・オースティン

これまたかみさんの本棚から拝借。 中野好夫訳。「高慢と偏見」と訳されたりもしているが、「プライドと偏見」という映画のタイトルはあまりに酷い。自負と訳すべきか、高慢と訳すべきか悩ましい部分はあって、たしかにprideはprideでしかないかもしれないが…

三四郎/夏目漱石

かみさんが読もうと思ったらしいのが転がっていて、ひょんなことから高校生の頃に読んで以来、再読。 柄谷行人の解説で、漱石が美禰子を「無意識の偽善者」と言っているというので、ああそうだったなと…そのころ「偽善」ということをいろいろ考えたことを思…

すべての道はローマに通ず〜ローマ人の物語27・28/塩野七生

年代を追っての記述からちょっと離れて、ローマのインフラ事業について語るインテルメッツォ。これまでのところでもさまざま語られていて、目新しくはないが、写真や図表が多いのが楽しい。 ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 (新潮文庫)…

ミカドの肖像/猪瀬直樹

ミカド/天皇というキーワードで、宮家の土地を買い漁った堤康次郎、サボイオペラ「ミカド」、御真影という話を無理やりくっつけようとして、意味不明に陥っているような気がしないでもない。 辻井喬の「父の肖像」も読んでみようかな。「彷徨の季節の中で」…

芥川賞・直木賞

ほとんど関心を失っているが、メモ。 記事はここ(候補者はここ) メッタ切りはここ

賢帝の世紀〜ローマ人の物語24〜26/塩野七生

五賢帝のうちの3人、トライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウスの治世。比較的安定した時代ということもあって、物語としてはあまり面白くない。塩野節に飽きたと言うべきか。崩壊過程のローマ人のドラマに期待。 ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈…