論説・思想という分類になるのなのかもしれないが、著者自身エッセイとしていることもあり、とりあえずこうしておくことにする。半世紀前に書かれた著名な著作。山本七平「空気の研究」だったか(これも随分昔の本だ)、比較的最近読んだ本で言及されていて、そういえばと思って読んでみた。氏の考え方をさらっとまさにエッセイ的に記しているだけで、具体的な論拠について掘り下げて記述されていないので、もうひとつ良く分らない。日本と西欧が含まれる高度資本主義経済社会を形成した「第一地域」とその他の「第二地域」に区分するが、辺境にあった「第一地域」が蒙古等の大規模な侵略の影響を大きく受けず、生産力等を維持しえた一方、乾燥地域及びその周辺にある「第二地域」が激しい暴力に晒されたということはそうかも知れないと思う反面、「第一地域」が辿った封建制とそれから生まれた(?)ブルジョアが現在の高度資本主義社会を形成した一方、「第ニ地域」では専制体制がブルジョアを生まず・・・という論旨は良く分らない。西欧も封建制後は絶対王政だったわけだし。私もそんなに歴史を知ってる訳でもないし、論評するほどの能力もないのだけれど。
いずれにしても半世紀前、唯物史観とか今で言う極東裁判史観みたいなものと違う見方を提示したという点で画期的だったのだろうか。その後どのように研究が深められたのか、現在どのような評価がされているのか気になる。単なるエッセイという評価を超えた評価をされているだけにいろいろ気になる本。
- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/01/18
- メディア: 文庫
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