HONMEMO

読書備忘録です。

日本の構造/橘木俊詔

日本の国のかたちを50の統計データで確認、解説するもの。データ1ページ、文章3ページを原作として、コンパクトにまとめてあり、全体を俯瞰するのにはこういうスタイルも便利だろう。

・年間労働時間は、1960年頃から700時間減少、アメリカを150時間下回る1,644時間。ドイツは1,386時間。

・開業、廃業比率が、他国の1/3

・学歴間賃金格差は、欧米主要国より小さい。

・長期雇用の割合は高いが、イタリアより低く、フランス、ベルギー、ドイツなども近い(同一企業に10年以上勤務する割合)

・一人当たり住宅面積39.4㎡は、イギリスとほぼ同じ、ドイツ、フランスより少し狭いだけ。ただ、関東大都市圏は33.9、借家は23.8㎡。

・充実を感じるのはどんな時?仕事に打ち込んでいる時は、それ程減っていない。家族団欒が1位。まだ半数は家族の絆重視。

・保険料の未納を考えると、日本は信じているほどの皆保険の国ではない。

生活保護の受給から見ると、貧困問題は女性に代表されるのが日本。また、捕捉率(生活保護基準以下の所得の人のうち支給を受けている人の割合)は10〜20%。

相対的貧困率(所得分配上で中位にいる人の所得額の50%に満たない人の割合)15.4%は、先進国では米国に次ぐ高さであり、格差社会であることを示す。

・現役世代では所得再分配の受益者は世帯総収入400万円未満だけ。高齢者では1200万円でも受益(年金のため)。

・最高所得税率は、1986年では70%。

・債務残高GDP比率は237%、イタリア132、アメリカ104、ドイツ62。財政赤字がこれ以上拡大すると、突如として高インフレ、高金利となって、MMTの考え方と異なり大破綻しかねないリスクを秘めている。

・日本は、格差拡大、福祉についてはアメリカ型自立主義あるいは低福祉・低負担の国になるのではないか。