HONMEMO

読書備忘録です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

勉強の哲学/千葉雅也

勉強とは、保守的に生きてきた環境、コード(ノリ)を脱し(ノリが悪くなる)、新たな環境(ノリ)へ引っ越すこと。 環境のノリから自由になるための思考ツールとして、 -ツッコミ=アイロニー〜根拠を疑って真理を目指す -ボケ=ユーモア〜見方を多様化する がある…

21世紀の暫定名著/群像編集部

21世紀の暫定名著 作者: 大澤真幸,佐藤優,内田樹,松岡正剛,上野千鶴子,荻上チキ,池田清彦,松原隆一郎,斎藤環,大澤信亮,中島岳志,白井聡,栗原康,清水良典,松浦寿輝,富岡幸一郎,佐々木敦,佐藤康智,茂木健一郎,群像編集部 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016…

湖畔の愛/町田康

久しぶりに町田節 湖畔の愛 作者: 町田康 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/03/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

競争社会の歩き方/大竹文雄

行動経済学の本は、何冊か読んでいるが、知っていることを繰り返し読んでも面白い。(すぐ忘れるからではある) 人間、意識していないとバイアスのかかった判断をしてしまう。その結果が個人の損得にとどまるときはよいけれど、政策判断などに影響が及ぶ場合は…

日本人は何を捨ててきたのか/鶴見俊輔・関川夏央

個人、一番病、桶 日本人は何を捨ててきたのか: 思想家・鶴見俊輔の肉声 (ちくま学芸文庫) 作者: 鶴見俊輔,関川夏央 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2015/10/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る

銀の匙/中勘助

繊細な、あまりに繊細な。 世のなかをなんのへちまと思へどもぶらりとしてはくらされもせず (なるほどの一休禅師) 銀の匙 (岩波文庫) 作者: 中勘助 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1999/05/17 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 150回 この商品を含む…

吉田神道の四百年/井上智勝

神道にも"流派?"があり、権力との関係で消長がある。 吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ) 作者: 井上智勝 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/01/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 1人 クリック: 16回 この商品を含むブログ (…

反共感論/ポール・ブルーム

(情動的)共感に基づく行動でなく、理性により、行動することが重要。 特に道徳的問題や公共政策の判断が共感によって行われると、そのスポットライト効果によって、歪んだ決定がなされることになりがちである。 誤読、批判の予防線を張る議論が多くて読みに…

平成デモクラシー史/清水真人

平成に入って小選挙区制が導入されて、衆院選は政権選択選挙との位置付けとなり、これを背景として、日本の政治システムは、首相主導、官邸主導の政治へと変貌を遂げてきた。その行き着く先がいわゆる安倍一強というところでもある。 平成の政治システム史が…

ヒルビリー・エレジー/J.D.ヴァンス

白人貧困層(ヒルビリー)の実相を自らの体験として描いて、アメリカ社会の分断がいかに深いものかが、痛いほどによくわかる。 この層をターゲットとしたキャンペーンがトランプ大統領を生んだと言われるが、トランプの政策は一見彼らのウケを狙うように見える…

コンビニ人間/村田沙耶香

コンビニ人間 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (66件) を見る

幕末気分/野口武彦

幕末気分 作者: 野口武彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2002/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る

アメリカ 暴力の世紀/ジョン・ダワー

アメリカ 暴力の世紀――第二次大戦以降の戦争とテロ 作者: ジョン・W.ダワー,田中利幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/11/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る

歴史をつかむ技法/山本博文

歴史をつかむ技法 (新潮新書) 作者: 山本博文 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/10/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る

残念和食にもワケがある/岩村暢子

愕然とした。 残念和食にもワケがある - 写真で見るニッポンの食卓の今 (単行本) 作者: 岩村暢子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/10/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る

もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために/加藤典洋

- 明治期、尊皇攘夷思想は、尊皇開国思想への集団転向によって隠蔽された。1930年代の皇国思想の激発は地下に潜っていた幕末の尊皇攘夷思想の噴出であり、2010年代の「(安倍政権下の政治・社会的)後退」は、臭いものとしてフタをされた皇国思想の噴出である…

大衆の幻像/竹内洋

- 大衆の原像という吉本用語 - 「大衆」天皇制、大衆高圧釜社会、大衆御神輿ゲーム - 引き下げデモクラシーの常態化、劣情デモクラシー - 大衆迎合が自己目的化した超ポピュリズム - 受託者型代表から委託者型代表へ。政治家の非知性主義の蔓延 - 「政治的適…

「日本人」という病/河合隼雄

標題はやや的外れ。「私抜き」の自然科学の知の限界、「私の(一人称の)死」といった私との関係での宗教、神話の重要性。 「日本人」という病 (静山社文庫) 作者: 河合隼雄 出版社/メーカー: 静山社 発売日: 2009/11/05 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 1…

量子革命/マンジット・クマール

量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 (新潮文庫) 作者: マンジットクマール,Manjit Kumar,青木薫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/01/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る

「日本の伝統」の正体/藤井青銅

伝統というか、物事の起源を調べた本。 文体が趣味でない。 「日本の伝統」の正体 作者: 藤井青銅 出版社/メーカー: 柏書房 発売日: 2017/11/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る

保守の真髄/西部邁

- 必要なのは、理想を内包する現実であり、現実に裏付けられた理想なのである。つまりここでも、理想と現実の間の平衡が要求されるのだ。その平衡に抽象名詞を与えてみれば、自由と秩序の平衡はバイタリティ(活力)、平等と格差の平衡はフェアネス(公正)、博…

オリバー・ストーン オン プーチン/オリバー・ストーン

-「 今必要なのは、新たなパラダイム、国家間の関係構築に対する新たな理念への移行だと思う。新たなパラダイムは、他国の利益、他国民の主権を尊重する姿勢に基づくものでなければならない。」 いろいろと割り引いて聞く必要があるもの、あからさまなポジシ…

ダ・ヴィンチ絵画の謎/斎藤泰弘

ダ・ヴィンチは地質学というか地球物理学で終末を探求していた。モナリザが隠す背景はそれを表す。 カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎 (中公新書) 作者: 斎藤泰弘 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/03/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4…

皇室の祭祀と生きて/高谷朝子

宮中三殿において、祭祀を司る内掌典57年の日々。 祭政分離の観点から公務員ではなく、それに準ずる処遇のよう。 清に対し次と呼ばれる不浄から徹底的に隔離しようとするそのしきたりは、日本人の清潔好きに通ずるのだろう。 皇室の祭祀と生きて: 内掌典57年…

「聴く」ことの力/鷲田清一

臨床哲学試論 -ケアがケアでありうるのは、なんらかの目的や効果を勘定に入れない、つまりは意味を介しないで条件なしで「ともにいる」こと(…)のなかでであった。 すなわち、ホスピタリティという関係〜<なんの留保もなしに、「苦しむひと」がいるというただ…

親鸞と日本主義/中島岳志

親鸞の思想と、国体論、日本主義には、結びつきやすい思想構造が存在する。 すなわち、国体論の土台にある本居宣長の国学は、漢意=計らい、自力であり、やまとこころ=大御心に随順すること=他力である、というように、浄土教・真宗の影響を受けており、法然…

アメリカンドリームの終わり/ノーム・チョムスキー

感情的、陰謀論的、教条主義的言説で、分析もピンとこない。専門家ではないので当たり前か。格差を拡大する政治社会システムに対してお怒りなのはよくわかるけれど。 アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理 作者: ノーム・チョ…

宗教国家アメリカの不思議な論理/森本あんり

-アメリカに土着化したキリスト教の福音は、富と成功〜勝ち組の論理 -この世の成功=神の祝福 幸福の正当化(幸福の神義論) -苦難の神義論のないアメリカ人は負けを理解できない。 -反知性主義とは、権力と結びついた知性主義に対する反発 -リバイバル(信仰復…

謎の独立国家ソマリランド/高野秀行

「ムベンベ」から想像していたのよりずっとまともなルポで感心した。 謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫) 作者: 高野秀行 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/06/22 メディア: 文庫 この商品を含むブロ…

言語が違えば、世界も違って見えるわけ/ガイ・ドイッチャー

言語は、認識や思考にどのように影響するのかをめぐっての探求の歴史。 グラッドストンのホメロス研究!など、色彩認識と言語の関係、 言語のジェンダーと認識、 地理座標しか持たない(自己中心座標がない)グーグ・イミディル語と絶対方位感覚の獲得など。 言…