HONMEMO

読書備忘録です。

ぼくらの民主主義なんだぜ/高橋源一郎

東日本大震災直後から2015年までの朝日新聞「論壇時評」に掲載されたもの。

ここで民主主義とは、異なった意見や感覚、習慣を持った人たちが一つの場所で一緒にやっていくシステムのこと。他人と生きることはとても難しく、だから民主主義は困難で、僕らの民主主義を自分で作らなくてはならないと。

自らが主体的に社会を作るプロセスが、自分を変え、相手を変えていく。変わっていくことが楽しいと人々が知った時、罵倒と否定の社会を変えることができる。

この国の人たちの中に「みんな無知でいようぜ、楽だから」というメッセージが蔓延している。政治家のレベルが低いことは好ましいことであり、それを無意識のレベルで熱望している。

「戦後」は、戦争の体験を持つ人たちが作り出した。だとするなら、その後の時代は、受け売りの戦争体験でなく、自分のかけがえのない平和の体験を持つ人たちが作る時代であるべきだ。

皇后は、社会の問題を自分の問題として捉え、それを「自分のことば」で伝えることができる人。そのような言葉だけが遠くまで届く。

本書はそのような言葉に満ちている。