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読書備忘録です。

まっとうな政治を求めて/マイケル・ウォルツァー

著者はコミュニタリアン。現在の政治状況における「形容詞としてのリベラル」の重要性を説く。(保守とリベラルというような名詞でなく、)新しいポピュリズムと闘うリベラルな民主主義者、権威主義に反対するリベラルな社会主義者、反ムスリム等排外主義的ナショナリズムに抵抗するリベラルなナショナリスト、その他リベラルな国際主義者、コミュニタリアンフェミニスト、教授・知識人、ユダヤ人など。

「リベラルな」という形容詞は、政治権力の抑制、個人の権利の擁護、社会や国家の多元性・開放性、差異を寛大な精神で調整していくことなどをもたらす。

リバタリアニズムは、定義上リベラルと言われるイデオロギーだが、必ずしもそうでないリバタリアンが存在するように、リベラルにあらざるリベラル派が存在する。例えば、リベラルな共産主義者反共主義者・君主政支持者はありうるが、リベラルな差別主義者・ナチス警察国家金権政治はあり得ないであろうと。

まっとうな政治=decent politics の訳。decentは日本語にしにくい言葉だが、礼儀正しさとか寛大さのイメージを内包していて、リベラルな形容詞を説く本書の内容に相応しい。